ハンセン病(何世紀もの歴史を持つ慢性伝染病)は、感染者は、概算で世界中に100~200万 人ほどいる。発症しているのは、主に東南アジア、アフリカ、南米の熱帯および亜熱帯地域、お よび温暖な地域である。1990年代後半、合衆国での症例は650未満にすぎず、新たな診断
数は、毎年約150症例であった。新しく診断された犠牲者のほとんどが、ここ最近アジアや南 米から移民してきた人達である。世界保健機関が実施しているハンセン病廃絶に向けた際立った取り組みにより、この病変の罹患数は有意な減少を見せている。
原因
かつては犠牲者を、いわゆる癩患者収容所に隔離するほど恐れられたハンセン病は、現在では治療 可能となり、外観の変形等を予防できるようになってきた。病原菌である癩菌は、結核の原因菌 と同じ科に属する細菌である。(これは1874年にノルウェー人医師(ゲルハルト・ハンセン)が発見した病変で、ハンセン病(
leprosy)はハンセン氏病(Hansendisease)と呼ばれることもある)。この病原菌は、皮膚同士の接触や鼻汁から伝染すると 考えられている。ただし、細菌に曝露された人々の約95パーセントは影響を受けないため、ハ ンセン病の感染力は強いとされていない。なぜならこの細菌は成長が非常に遅く、潜伏期間の範 囲は1~30年間とばらつきはあるが、平均すると約3~5年間である。感染源となる微生物が 末梢神経、皮膚、および粘膜に侵入し、神経を損傷して知覚麻痺を引き起こす。結果として起こ る麻痺は目立たなくなるため、治療が放置される可能性があり、ここからハンセン病の特徴であ る奇形の大多数を占めている指の損失などが起こる。また、進行した症例では麻痺状態になることがあり、目の感覚がなくなって外傷または感染から失明することがある。
ハンセン病のタイプ
この病変は、主に類結核型と癩腫型という2つの形式が知られている。癩腫型は、主として皮膚と 神経に感染する。青色で平坦な中央部を赤い縁が隆起して囲む形の斑点が、腕と脚の上に現れる ことが多い。斑点の下にある神経の損傷から患部の感覚がなくなり、筋肉の収縮や萎縮が頻繁に 生じる。癩腫型はさらに一般的な感染症で、皮膚、口、鼻腔、上気道、目、神経、副腎、および 睾丸を侵していく。様々な皮膚発疹が全身に拡がることもあるが、麻痺は結核様癩に比べて統一 性がなく、重篤性も低い。しかし進行した段階では、癩腫型ハンセン病は潰瘍、まゆの損失、鼻の欠落、耳たぶや輪郭の肥大、および失明を引き起こすことがある。
治療
ハンセン病治療に使用される主な薬剤は、ダプソンであった。しかし、1960年代に入ってダプ ソンの耐性症例が現れ始め、今日、標準的に用いられている治療法は多剤療法になっている。ダ プソンは、通常、rifampineやクロファジミンなどの他の殺菌性のある薬剤と併用投与 され、クロファジミンは、1987年に癩腫型ハンセン病への使用のために米国で承認されたも のである。1960年代に催奇形効果で悪名を高めたサリドマイドだが、ある特定の患者におい ては熱、皮膚病、疼痛を減少させる働きがあることが発見され、1998年に上記使用のために 、米食品医薬品局が承認した。ハンセン病ワクチンとしてのクローン技術製品の開発は、より伝統的な方法と同様に進められており、現在は臨床試験の段階にある。