栄養欠乏症は、主として、健康や発育に不可欠な栄養素を十分に含んでいない食事が原因で起こる 。食事で消費した栄養素を適切に活用することができない人もいることも。別の原因として挙げ られる。欠乏症は、栄養素、または摂取した栄養素にある何らかの不均衡から、その人が新陳代
謝を異常に多く必要するようになり、生じることがある。また、特定の薬物または薬剤が、栄養利用に影響することもある。
欠乏症は、しばしば食糧摂取の不足、またはバランスが程よくとれていない食事から生じることが あるが、同時に健康障害(下痢、寄生虫感染症、癌、エイズ)、または治療不足から、特に子どもに起こることがある。
最も深刻な欠乏症は飢餓で、著しい体重減少と脂肪の低下のほか、肝臓および腸を含む他の組織の 欠損が生じる。体の免疫系を含む、ほとんどの系統に影響がある。皮膚と髪の毛は乾くようにな る。内分泌異常が起こり、女性は一般的に無月経症になる。下痢が発生することが多く、罹患者は、二次感染から死に至ることがある。
栄養不足は、発展途上国における疾患の多くの原因になっている。発展途上国の栄養不良において 最も有力な形態として、タンパク質エネルギー低栄養、ヨウ素欠乏症異状、ビタミンA欠乏症、および栄養性貧血などがある。
欠乏症
人間は、炭水化物や脂肪、タンパク質の他、アルコールからも、エネルギー(カロリーまたはジュ ールの単位で測定)を摂取している。社会の大多数において、最も摂取可能なカロリー源は炭水 化物であるが、脂肪とタンパク質の摂取は、それほどでもない。一般に、家族や自治体が裕福になるにつれて、食事に含まれる脂肪と動物性たんぱく質の割合は増加する。
タンパク質エネルギー低栄養
適切な量の食物エネルギーを消費できなかった場合、子どもは組織を消耗して体重減少や成長阻害 を引き起こし、最終的には餓死につながることがある。酵素とホルモンの産生は、重度のタンパ ク質欠乏症で正常に機能しなくなる。世界中の貧困地域で暮らす幼い子どもたちは、一般的にタ ンパク質エネルギー低栄養(PEM)を罹患する。この状態は、下痢などの一般感染症に加え、子どもが不規則な間隔で食物を食べることも悪化に拍車をかける。
PEMの2つの臨床型が、栄養不良性消耗症とクワシオルコルである。消耗症は、主としてエネル ギー(カロリー)欠乏から発生し、クワシオルコルでは、タンパク質欠乏症が主要原因となって いる。軽度または中等度のPEMは、これら2つの重度の形態よりはるかに一般的であり、成長 速度の遅延、発育不良、感染に対する感受性増大の他、最終的には、肉体的な成長を永久に阻害することになる。
微量栄養素欠乏症
ミネラル欠乏症
最も普及し、かつ優勢なミネラル欠乏症は、貧血の最も一般的な原因である鉄欠乏症、地方病性甲 状腺腫と、精神遅滞の原因であるヨウ素欠乏症、虫歯の原因になるフッ化物摂取の低下、および亜鉛欠乏などがある。
ビタミン欠乏
主なビタミン欠乏症の1つに、ビタミンA欠乏症が原因で起こる眼球乾燥症がある。それは、目の 角膜に潰瘍を形成する他、しばしば失明を引き起こすことがあり、同様に死亡率の増加にもつな がる。脚気、チアミン、またはビタミンBN、欠乏症は、米を主食とする民族でよく見られ、ア ルコール中毒患者の間で発症する。ペラグラはナイアシンの欠乏から生じ、とうきびやトウモロ コシを常食とする人々が罹りやすい。リボフラビン、またはビタミンBMの欠乏はリボフラビン 欠乏症の原因になり、唇のひび割れや生殖器部の病変を引き起こすことがある。大球性貧血(異 常に大きな赤血球が関連)は、特に妊娠中の葉酸欠乏、およびBNM欠乏から生じることもある 。くる病と骨軟化症(骨の軟化)はビタミンD欠乏から、壊血病はビタミンC欠乏から発症する 。新生児のビタミンK欠乏や特定の薬物摂取から起こるビタミンBR欠乏などの他のビタミン欠乏はあまり重要ではなく、また一般的でもない。
治療
これらの欠乏状態に対するそれぞれの特殊療法は、通常、問題の栄養素が適量含まれた薬剤の支給 と、これら栄養素を豊富に含む食物を食事で確実に摂取することである。また、後者の治療法は 、これら疾患を予防する基本でもある。また、疾患の中には、栄養分を含む食物の日常的な摂取 、様々な食物供給プログラム、栄養価の高い食物の現地生産を増大させる他、長期的には、良質な栄養教育によって予防できるものもある。
世界の健康問題
近年、飢餓と栄養不良に関して、世界的に関心が高まっている。世界各地での大規模な食糧不足は 、飢餓の拡大を減少させるための国際的行動につながった。世界保健機関(WHO)、食料農業 機関(FAO)、および国際連合児童基金(ユニセフ)、国連のすべての政府機関が、栄養不良 の拡大と深刻さを軽減するために、特に発展途上国において、重要かつ多彩な役割を果たしてい る。彼らは連携して活動を行い、分類とレポートに関する世界基準の確立に努めており、また、さまざまな人口グループへの栄養所要量に関する推奨活動も行っている。
合衆国では、米国科学アカデミー/米国学術研究会議の食品栄養委員会(FNB)が、すべての重要な栄養素に関する栄養所要量(RDA)を発行している。