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ガープの世界(上・下)

Summary rating: 3 stars 40 レビュー
著者 : Irving, John.
Review by : seibei
ヒット回数 : 1348  単語: 900   次に関して発行: 4月 03, 2006
現代アメリカ文学の巨匠とぜひ呼びたい、ジョン・アーヴィングのベストセラー。看護婦ジェニー は包帯でぐるぐる巻きの状態の、助かる見込みもない、幼児化してゆく重体の兵士(ガープ三等 軍曹・独身・戦場にて白痴となる)とただ子供をつくるためにセックスをする。子供の名はT・ S・ガープ…T.Sってなんだ?そんな質問に飽き飽きしながら彼は元気に育ってゆく。物語は ガープに対してのインタビュー形式、またはカープ随想録のような書き方で進んでゆくのだが、 読み進むうちにその文体の意味が読者にもじわじわとわかってくる。ジワジワ…と。やがてガー プは、ふとしたきっかけで作家を志すようになる。執筆のため、環境を整えるべく母と赴いたウ ィーンでは、ガープだけではなく、母もまた、自伝の執筆に励む。この母の書いた本『性の容疑 者』(タイトルからしてショッキングである)が後々のこの親子の運命を握る鍵となるのだ。ガ ープの生涯を通して、一家族の浮き沈み、夫婦親子の愛情、過激化して本来の意味を忘れた女性 運動へのアイロニー、文学(思考に沈む世界)と運動(動物的な動き、本能)のコントラストなど、人の明暗・表裏・矛盾を軽快に独特の文章で綴った逸作。

この作品は名匠G・R・ヒルによって映画化されている。ガープは名優R・ウィリアムズが、母親 も強烈な個性を醸し出すG・クローズが淡々と、まさに小説の中から抜け出したような看護婦( 女性運動家)ジェニーを見せてくれる。小説の中でも一番人間らしさを見せ、ほっとなごませて くれる存在の性転換した巨漢の元フットボール選手役のJ・リスゴーもまたぴったりの配役。実 際本を読み始めるときは、映画からだとあまりにもキャラクターが出来上がってしまい、よろしくないのだが、この小説の場合はどちらが先でもどちらも色あせはしないだろう。

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