ブローカーこと仲買人。アメリカ大統領、サーサー=モーガンは任期の最後1時間前にして大きな 問題に直面していた。その問題となっている人物がジョエル=バックマン。彼こそ、かつてワシ ントンを震え上がらせた悪名高き犯罪者、仲買人であり、6年もの間政府の刑務所で服役してい た。その彼を大赦するか否か、大統領は決断に迫られていた。だが、結局大統領はCIAから多 大な圧力により大赦を出してしまう。ただ一つ誰にも知らされなかったのは、ジョエル=バック マンが釈放されなければならなかった理由。CIAはバックマンが野放しだった頃、世界で最も精巧かつ複雑に作られた人工衛星の監視者の情報を持っている可能性があると読んでいた。
一方、バックマンには何も知らされずに新しい名前と身元証明書をもらい、軍の貨物輸送機に半ば 強制的に乗せられイタリアへと向かった。そこでバックマンは新しい生活をすることとなる。新 しい名前は、マルコ=ラツェーリそして彼のそばには政府から派遣された2人の男がついた。一 人は、ルイーギ。イタリアでの慣れない生活のための教育係。もう一人は、エルマンノ。イタリ ア語がまったく使えないバックマンの家庭教師。パスポートは支給されなかった彼であったが、 始めははなれない新しい土地での生活に戸惑った。だが、イタリアでの生活に慣れれば慣れるほどバックマンがルイーギとエルマンノに対する不信感を深めていった。
バックマンが生活に慣れるとCIAは密かに彼の情報をイスラエル、ロシアをはじめ中国やサウジ アラビアに流した。CIAの目的とは唯一つ、人工衛星の監視者だったものの情報。すべての準 備が整ったその時、CIAがすることは見守ること。バックマンが生き残るかは関係なかった、 むしろそれは不可能なこと。CIAが欲しい答えは、誰がバックマンを仕留めるか、それだけだった。
バックマンに少しずつ迫る危険を鮮やかに描いた、本。人間の性に対する執着がこの本から伺える。世界各国の刺客を前にバックマンはどう生き延びるのか――。
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