後天性免疫不全症候群
臨床徴候
HIVに感染した人は、その後の症状を全く示さないか、または急性ではあっても一時的な単核球症様の疾患を発症することがある。 初感染からエイズに進行するまでは、いま現在で、約6カ月から10年まで幅広い期間に渡ると言われている。
様々な推定材料から、感染者の26~46パーセントが、感染に続いて、7年以内余りで末期のエイズに進行していることを示している。 過去には、一度エイズに罹った患者は急速に体力が衰え、ほとんどのエイズ感染者が3年以内に死亡している。 しかしながら、新薬の開発により、エイズは急速に死に至る疾患から、治療しやすい疾患へと変移している。
日和見感染と癌
T4細胞は、ほとんどすべての免疫反応に関与しているため、減少すると、人体を日和見感染と腫瘍の成長への感受性が非常に強くなる。 最も顕著かつ脅威的な合併症がカリニ肺炎で、最初の感染として発症することが多く、最も一般的な死因でもある。 他の感染症には、寄生体トキソプラズマ原虫(トキソプラズマ症を参照)やクリプトスポリジウム 症、カンジダ菌(カンジダ症を参照)やクリプトコッカス(真菌症を参照)などの糸状菌、トリ 型結核菌、マイコバクテリウムイントラセルラーレおよび結核などのマイコバクテリウム、そして、サイトメガロウィルスや単純ヘルペス菌、帯状疱疹などのウイルスが含まれる。細菌感染への感受性の増進は、特にエイズの子どもに顕著である。
多くのエイズ患者は、カポジ肉腫(KS)、非ホジキンリンパ腫、およびホジキン病を含む癌を発症する。 KS(カポジ肉腫)は、免疫障害に関する証拠を少しも表さない患者に発現する他の要因も関係している可能性を示している。 非ホジキンリンパ腫の中では、原発性脳リンパ腫と同様、免疫芽細胞性およびバーキット型のものがある。 これらの腫瘍は極めて悪性であり、化学療法で治療しにくい傾向にあり、特に日和見感染を既に罹患しているエイズ患者に見られる。
他のHIV関連の疾患と補助因子
精神神経異常の兆候は、HIVに感染した人の約60パーセントで発症する。 HIVが脳内、脊椎内、および末梢神経内に存在して増殖する可能性は、現在、よく知られている。 これは広範囲な兆候をもたらすもので、髄膜脳炎(脳炎を参照)および認知症が含まれる。 これまでの証拠では、単核細胞と呼ばれる種類の循環HIVが、脳内の感染症を発症させる可能性を示している。 HIVによる神経組織の直接感染を裏付ける証拠はほとんどない。
HIV患者の血球異常には貧血、白血球数の減少、および血小板欠乏が含まれる。 また、研究者はこれらの細胞内での骨髄細胞の直接感染、循環血液細胞の前兆、およびウイルス増殖をも示唆した。 このように骨髄は、感染者にHIVの有力な保菌貯蔵庫になり、ウイルスを体中に拡散する潜在的メカニズムを供給することがある。 他のHIV関連の兆候には、腎炎(腎臓病を参照)、関節炎、および肺の炎症(肺炎)などがある。
特定の補助因子は、感染に対する感受性の増加と、ウイルス性疾患の活動の拡大により、HIV感染およびエイズにおいて、重要な役割を果たしていると思われる。 他の性感染症には、特に重要な意味があると思われる。 生殖器官の皮膚と粘膜への損傷は、ウイルスの遺伝が関与していることがある。 さらに、実験室での研究は、また、マイコプラズマなどのエイズ患者に多く観察される他の特定の細菌も、補助因子として機能いると思われることを示した。